「教員採用試験受験者が減少している」という記事を先日も見た。
教員の志願者、減少続く 過去最低の地域も 全国68機関を朝日調査(2023/09/19 18:30)
「本当に減っているのだろうか?」「若年人口が減っているから減っているのであって、実際にはそんなに減っていないのではないだろうか?」と思ったので、調べてみた。
人口については総務省統計局のデータを使った。
教員採用試験の受験者数と採用者数については、以下のサイトのデータを使った。
青い折れ線グラフが20-29歳代の人口だ。教員採用試験を受けるのは大学卒から大学院卒だろうから、この年齢の人口をプロットした。20歳、21歳も含まれているが年別の推移を見るには問題ないと思う。
2000年は18247千人だったが、2022年には12675千人だから、2000年を100とすると2022年には69まで減少している。
緑の棒グラフが教員採用試験受験者総数だ。
2000年の147,098人が2022年には126,391人に減っているから、2000年を100とすると2022年は86だ。
上のYahooの記事では2024年度は「12万7855人で、前年度から6061人(4・5%)減った」とあるから、2023年度は133,916人だったはずだ。2022年が126,391人で2024年度より少ないからこのグラフで考えてもほぼ問題ないだろう。
紫の棒グラフが採用者総数だ。
2000年の11,021人が2022年には34,274人と増えている!!2000年を100とすると2022年は311だ!!
2000年を100とした場合の推移をグラフにしてみた。
青い線が20歳代の人口推移だ。2000年を100とすると2022年は69と31も減っている。
茶の棒グラフが受験者数で2000年を100とすると2022年は86だ。
緑の棒グラフが採用者数で2000年を100とすると2022年は311と3倍以上も増えている!!
こうしてみると確かに受験者数は減少している。
しかし、同じ時期の20歳代の人口減に比べると教員採用試験受験者の減少率は低いと言える。
つまり、若者は今でも教員という職業に憧れを持ち、受験しているのだ。
地域差や教科による格差もあるとは思う。だが、総数で見ると、人口の減少に比べるとそこまで受験者数が減少はしていないと言えるだろう。
一方、採用者数が3倍に倍増しているのはなぜだろう?
退職者や休職者が増えているから、採用者数を増やしていると予想できる。ブラックな職場とも推測できる。
見出しだけ読むと教員採用試験受験者数が危機的状況に思えたが、多くの若者が教員という仕事に魅力を感じて受験していると思う。
採用した後の職場における働き方改革が喫緊の問題だと思う。
東スポだけでなくどんなマスコミの見出しでも、見出しだけ見て「○○は□□だ」とみなしてしまうと間違った判断をする、と改めて思った。